サーバプログラム上で動くプログラムのライブラリを手がけていることもあって,その製品を某展示会(分かると思うが)でお客さんに説明していたところ,
つまりクラウドですね!
と,要約する方に数名出会う。念のために書いておくと,この展示会は開発者さん(つまりライブラリを利用する開発者)さん向けの展示会なので,ほとんどみんなソフトウェア開発で食ってる方です。
「ちげーよ」と言いたかったけれども,説明が悪かったかもと思って,個人的にモヤモヤしたもんだけ残し,仕組みだけ理解していただくことに。それをクラウドと呼ぶかはあなたに任せます的な……。
クラウドというマーケティング用語(技術用語ではないとあたしは思う)は,リソースやサービスを「利用者側」から見た場合の概念であって,プログラムそのものとはまったく関係がありません。もちろん,当該ライブラリはサーバプログラムから利用されることを想定してるから,「クラウドサービスとして」提供することもできるわけだけれども,それはお客さん(開発者)が自分の顧客にどう提供するかによって変わってしまう。「クラウドか?」と言われたら,「違います」と言うしかない。クラウドだと言うなら,X Window System だって,Windows のリモートデスクトップだってクラウドになってしまう。
つか,何よりも,開発者間で「クラウド」という言葉は使用禁止にした方がいいとも思う(半分だけジョークだが)。というのも,上のような誤解のあるなしに関わらず,この言葉が何を意味しているのか,人によって受け取り方がまちまちで,開発者としてまともな話ができないからです。「クラウドですね!」と言われたら,「ちょっと待って!あなたが言ってるクラウドは何を指しているんですか?」と聞きなおさなくちゃいけない。
その意味で言うと,この言葉は少なくとも技術者間で用いる用語して定立に失敗したといえるのかもしれない。面倒なコトバができたもんだと思ったりする。