今日観た映画 - 『借りぐらしのアリエッティ』

2010/08/09

観てきました。割と良かったです。ただ,個人的にテーマが浅かった印象は拭えませんでした。ま,深けりゃいいってもんじゃないんだけれども。一方,音楽は文句なくすばらしかったです。

以下ネタバレ注意。

小人のアリエッティは,主人公である翔が療養する家に借りぐらししています。翔は手術を控えてやや弱気になっていたけれど,滅び行く種族であるアリエッティの生きる姿勢に勇気付けられます。がんばれアリエッティ!がんばれ翔!……と,ま,それ以上に見るべきテーマがあったかというと,多分,ないんだと思う。でも,それはそれでいい。教育的だし,楽しめもします。

一方,本作のテーマから見て,ほぼ確信に近い形で感じたのは,ジブリの脱オタク化が完全に固まった,ということでした。アリエッティは,小人であることを除けば,特に特技のない普通の14歳の女の子です。虫の気持ちが分かったり,空飛ぶ島に行けたり,ほうきに乗れたりしない。その分,同じような環境にいる(あるいは「いた」)普通の女子は,感情移入しやすかったんじゃないかと思う。翔も普通の男の子なので,「普通の」男子が感情移入する対象も用意されている。一方,オタクが感情移入する対象はない。

オタク的なアリエッティはどんなのかというと,天気を操れるとかいったなんか特技を持っててですね,猫と戦ったりしてですね,人間を喜ばせたりしてですね,でも見習いだから途中で挫折とかしたりとかしてですね,で,「たまに失敗するけど元気です」的なことをつぶやいたりするキャラクターだと思うんです。しかし,そゆのではない。普通の女の子です。

ジブリ作品は,作品を追うごとにキャラクターのセクシャリティからオタク的なものを漂白してきた感じがします。このことについては,特に言うこともないんですけれど,ま,今までの方が特殊だったのかもな……とも思ったりします。

ストーリーは,全般的に論理構成というか因果関係というか,そゆもんがしっかりしているので,脈絡なく話が進行するトンデモさはなかった感じがします。ただ,個々のキャラクターが行動する「きっかけ」(心の動き)にあまりメリハリがなかったようで,全体としてのっぺりとしていた印象。ひとつ印象的だった描写は,「わすれもの」という置手紙を読んだときのアリエッティの表情です。これは良かった。あざ笑われたような屈辱感と,人間に見られてしまった焦燥感に追い討ちをかけられた表現として秀逸だったと思います。ただ,それがどうして親人間的な立場に変わったのかが分かりづらかった。というか,二人の語りだけで(言葉だけで)解決されてしまっていた。これでいいんだろうか。

ま,ともあれ,普通のアニメとして普通に楽しかったです。

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