今日観たDVD - 『御法度』

2010/06/21

大島渚,ビートタケシ,坂本龍一という黄金トリオが参加した『御法度』を観てみました。坂本龍一の音楽は,やはりすばらしい。しかし,内容が……。以下,ネタバレ注意です。

話は新撰組に美しい少年(加納惣三郎; 松田龍平)が入隊したことをきっかけにして,隊内に衆道(男性の同性愛)をめぐる狂気と混乱が云々,という話。少し解釈する要素はあるものの,なんとういか,同性愛に対する洞察という点で,内容が薄いといわざるを得ません。

もっともいけないと思ったのは,加納を美しくて「女性的な」キャラクターとして描いてしまったこと。「女性的な男性」と「美しい男性としての男性」というのは,同性愛のフレームからしてみると,似ているようでまったく異なるんじゃないだろうか。あたしにそのケはないので,実際はよく分からないんだけれども,少なくとも本作に関する限り,加納を女性の代わりとして描いてしまったら,同性愛の同性愛性は失われてしまって,男女の恋愛もどきになってしまう。これじゃ御法度でもなんでもない。

この点について,浅田彰氏は「ホモセクシュアルな無秩序の危険が否定され、ホモソーシャルな秩序が回復される」とか書いているけれども,それ以前の問題のようにも思えます(参照:浅田彰【「御法度」をめぐる御法度】)。「自己去勢でもあるこの切断」とかいう話は,さっぱり意味が分からんけど(言ってみたかったんだろうか)。ともかく,この作品に,ホモセクシャルなシーンはない。

そしてもし仮に,加納を女性として捉えることができるとするならば,本作はむしろ大島のミソジニー(女性嫌悪)を露呈しただけ,ということになるんじゃないだろうか。男性だけの社会に「女性」が入り込むと,ろくなことがない,とかいった具合に云々。

また,加納には「前髪を切らない理由」がずっと付きまとっていて,彼は「願をかけている」とかいった説明をします。他にも,加納は新撰組に入隊した理由について「人を斬れるから」と説明し,「自分に未来はない」とも言う。しかし,これらの伏線は張りっぱなしで放置。結局なんだったんだ?

全般的に,演技にもまとまりがなく,同性愛に対する洞察も希薄な作品といった印象でした。あたしゃあまり特定の作品を名指しで批判することはない方なんですけれど,本作がお勧めかというと,これはちと微妙……。

Site Navigation
SNS Accounts (@aian)

普段はここら辺に住んでいます.