NHK の「schola」を観ていて通低奏音の話とか

2010/06/07

最近文句や愚痴ばっか書いているので,少しポジティブな話でも。

NHK で放送している「schola 坂本龍一 音楽の学校」が面白くて毎週観ています。鼎談も面白いんですけれど,ワークショップで言わされたようなことを(比較的)言わない参加者の態度もいい。

音楽の教育番組って,楽典的なところに寄り過ぎると,野暮ったくなると思っています。「言葉」だけで説明できる「音楽」があるとするなら,それは音楽である必要がないと思うから。一方で,「感じるままに感じればいいんだよ」的な,感性的な方面に寄り過ぎるのもいけないと思う。そんなのは当たり前なわけで,わざわざ番組にする必要はないと思うから(出演者やプロデューサの独善だと思う)。

音楽を理解するための番組は,ある音楽を通じて他人と共有できる部分を探り当てるところに重点を置くべきだと思っていて,schola はその点をうまく突いていると思います。また,音楽の中でも,割と地味で注目の集まりにくいところが,とても重要な役割を担っている点を指摘している点もいい。

あたしが印象的だった回は,「バッハを通じて通低奏音を聴こう」という話。通低奏音というのは,バンド形式でいうならベースパートのこと。低音がボトムをしっかり支えることで,主たる旋律(フロントパート)がきれいに構成される様子を放送していました。「G線上のアリア」の通低奏音がある場合とない場合を聴き比べた後で,今度は生徒がその通低奏音に乗っかってエレキギターや三線のようなフロントパートを考える,ということに。同じベースなのに,ポップス調から現代音楽調まで,まるで曲調が変わるから不思議です。こゆ実験をしながら音楽を楽しむ態度は,楽典的でも感性的でもない実践的な音楽だと思います。

ともあれ,通低奏音の話を聴いた後,ちょっと思い立って Soft Machine を聴きなおしていたのでした。

通低奏音の文脈で聴くと,味わい方が変わってきます。とゆのも,一般的なそれとは反対に,ベースが主旋律を奏でて,中高音でベース的な動きをする曲があるから。聴いたとき,おおおお……と思ってしまった。Soft Machine の音楽は実験的なものが多いもんで,初めて聴くと「なんじゃこりゃ?」としか思えないと思うんだけれども,文脈を踏まえると分かるところがあったりする。

聴きなれた音楽でも,少し刺激をもらうだけで,まったく違う曲のように聞こえます。不思議。こゆ発見を促してくれる番組は,とても貴重だと思います。

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