人から薦められて『ネーミングの掟と極意』を読んでいたんですけど……。
これはちょっと言いすぎだと思う。
安藤:ITエンジニアでも、マルチパートめるなんて言われて何のことかすぐにわかるのは、メールの転送フォーマットについてある程度知っている人だけでしょうから、けっこう少ないんじゃないかと思います。正直言って、僕もよくわかりません。
『ネーミングの掟と極意 (エンジニア道場)』(開米瑞浩,翔泳社,2007年,p196)
胸を張って言われると「そういうもんなのか?」と思ってしまいそうだけれど,そんなことはない。分野を問わず,ITエンジニア(これが何を指すのかよくわからんけど)を自称する人だったら,仕様はともかく「マルチパートメール」が何を指すかくらいは常識だと思った方がいい。常識ってのは,知ってないと,まともにコミュニケーションを取れないよ,という知識のことです。んでもって,実際,知っている人が「けっこう少ない」なんてことはありえない。
ここでどうにもトホホなのは,本書が「エンジニア道場」なるシリーズとして書かれているということです。他の本ならともかく,技術本ですから,先生が胸を張って「んなもん知らん。知る必要もない。」とか言ってたら,できあがる生徒はロクなもんになりませんよね。多分。
もともと,本書を薦めてもらったのは,変数名やら関数名やらを名づけるセンスって大事だよねー,みたいな話があったからなんですけれど,そういう本ってあまりなかったのでした。その意味で言うと,本書のテーマそのものは貴重なもんなんじゃないかと「は」思います。
テーマの需要はある。良書を求む。