またアマゾンの話なんだけれども……憲法特集やってるそうです。

2007/06/19

憲法について考えてみる(Amazon.co.jpメッセージ)

書籍の並びを見ていると,憲法と聞いてまず浮かぶ本が紹介されてない。

憲法 第六版 芦部信喜, 高橋和之 岩波書店 2015年

あたしが持ってるのは新版なんですけれど,もう四版になっちゃったんですね[1]。芦部信喜氏は違憲判断の基準として二重基準論なんかの業績を残した憲法学者です。新版までは芦部氏が書いていたんですけれど,お亡くなりになった後の三版からは,高橋和之氏が後を継いで書いてらっしゃいます。個人的には,本書を読まないで日本国憲法を語るやつはモグリだ,とか思ってるんですけれど,実際はあまり知られていないという……。

本書は,元々放送大学のテキストを編み直したものなので,どちらかというと「憲法って何?」な人を対象にした内容になっています。憲法学というと,ちょっとたじろぐ向きも,本書ならわりとすんなりと読めるはずです。ただ,間口は広く開け放っていても,その奥は深い。

憲法というのは,それ自体政治的なものだから,力押しの議論(声が大きい人ほどよく通る議論)もアリだとは思うんですけれど,そうした政治的なものであるからこそ,学的にまたは理知的に捉えなくちゃいけない側面もあると思うんですね。芦部がしきりに,「憲法制定権力は日本国憲法に『制度化』されている」と唱える箇所は,学生の頃何度も反芻した覚えがあるんですけれど、今になって考えると,ラショナルな議論を維持するために最低限必要な「砦」だったんじゃないかと思います。

「主権者」概念の限界(主権者はどこまで憲法を変えられるのか)を突き詰めてみたい向きにも,入門としておすすめです。

憲法の入門書の中には,身近な例や事件を挙げて人権や制度を説明するものもあるけれど,実際のところ,憲法そのものが「直接」市民生活に関わっていることはあまりありません。もちろん,憲法の理念なりなんなりに基いて制定されている法律とは,「直接」関わってるわけですけどね。憲法がそのまま「適用」されるケースってのは滅多にない,ということです。そんなもんで,右であれ左であれ,そうしたもんを「身近」なナニカに置き換えて説明するのは,欺瞞だと思うし横着だとも思うわけです。そういうことを言う本は捨てた方がいいし,そういうことしか語れない人の言うことは,聞く必要がない。

「憲法を変えた方がいいですか?」と問われたときに,賛成・反対の結論しか言えない向き,あるいは抽象的な理屈(へんてこな比喩やプロパガンダ)しか思い付かない向きにもおすすめです。

[1] エントリ公開時は第四版でしたが,2016年現在の最新版が第六版なので,書籍へのリンクは第六版を掲載しています。

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